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・グレイト管理人
・とか言っている場合ではないが、とてもグレイトである
・グレイト
・ソーグレイト
・特にレイティングはかけていません
・しかし、一カ所「さすけ と 女の子」のセックスシーンがあるので、気になる人は「続き」を見て確認してください
・該当箇所を全部突っ込んであります
・ご確認カモン
・内容の要約
・武田対伊達
・真田さんは相変わらずうきうきして伊達さん狙い撃ち
・蒼紅対決でござる! たのしみでござる!
・猿飛さんいらっ
・くっそおれさまぬけがけして伊達くんしばいたるかんな
・んだとなめてんじゃねーぞそこのアホども
・レッツパーリー!
・のち、猿飛さんがアホなので伊達さん家に捕獲されました
・えっ
・っていう話
・別に前後編とかじゃないけど、続きを書く予定
・武田の真田っていいよねみたいな
・まあ、そんな感じ
・ちなみに申し訳ないんですが、表紙にとても指紋がつきます
・すまぬでござる
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まあ、どんな阿呆だと思えば、クレイジーの方にバカだった。
「伊達――政宗殿!」
よく聞こえる、よく聞こえる。
「政宗っ殿……邪魔でござらあああああ!」
まだ姿も見えないのに、己を呼ばう声だけ聞こえる。それと炎。
「なぜどかぬ! それがしは正々堂々伊達政宗殿にお会いしたいと申し上げているではないか! そこを通せ!」
「おまえはあほたれか! このばかたれ!」
「ファックだぞ!」
「バカ! バカ!」
「誰がばかでござる!」
おめえだよ、と政宗のところにまで味方の合唱が聞こえる。
「筆頭に会いてえってんなもんおめえみたいな野郎誰が行かすかってんだ!」
「それがし怪しい者ではござらぬぞ!」
「知ってんだよ! んなこたわかってんだよ!」
「だからおっめーここ通されねえっつわれんてんだってわっかんねーのかよタコ!」
むうう、と早暁の戦場に陽炎が立つ。
「……それがし、それがし確かに同じ赤備えではござるが、タコ殿と言われたのは初めててござる……」
「アホか!」
「アホ!」
「だからそういうこっちゃねーんだよ!」
アホ、と柄の悪い男たちの声がはやし立てる。
「ぬうう、奥州伊達領、こと方言、訛りの強い地域とは存じ上げておりましたが、こうも話の通じぬものとは、お館様、この幸村――不覚!」
「バカ! アホ!」
「おめーだ、おめー!」
口々に足軽たちが声を上げる。
「ともかく筆頭のところへは行かせねえ!」
「そもそもこんな朝早くから馬突っ込ませるなんてひでえだろ!」
「そうだ! お馬さんに謝れ!」
「おれなんか晩飯もまだ食ってねえのに、今日は朝飯もねえんだぞ! ひでえよ、武田はデリカシーってもんがねえ!」
「おれたちゃデリケートなんだよ、デリケート!」
「そうだ、最低限のマナーは戦場でもマストハブアイテムだろうがよ!」
「むうううう……」
何をのんびりしているのか、幸村は陣の端で雑兵に囲まれて騒いでいる。
「……何してんだあいつ」
「悠長ですな」
小十郎が抜き鞘の刀を振るう。
「陽動だかなんだか知らねえが、生きてるもん使って仕掛けてくるたあ、いい度胸だ……」
振るってもまだ残る血糊を装束の腕で拭って、小十郎は足下に転がる馬を見た。
「どうせ忍のやることだろうが……。おかげで兵糧が泥まみれで使いもんになりゃしねえ」
「ねえ、火薬んとこじゃなくて残念だったよねえ」
「ああ」
そうだな、と小十郎が振り向いた。青く刀身が光る。
「――政宗様」
殺気が上る。半身開いて下がった足が、政宗の右を庇う。
「――いよう、忍」
ひさしぶりだな、と言ってやれば、赤毛の忍は、へへ、と口だけで笑った。
戦備えの男が一人乗って、横倒しになった馬の体があばらの軋む音も立てない。ただそこにいるだけ。影が一枚、そこにあるようだった。
「何しに来やがった。おれを呼んでるのはおまえじゃなくて、ご主人様の方じゃなかったか?」
まだ夜は明けて浅暁。忍の背後から射す光が政宗には眩しい。
「あれ、真田の旦那の声、聞こえてた?」
「うるせえほどな」
「それはごめんねー」
人形のように同じ表情のまま、忍の目は政宗の隻眼を追っている。
「旦那ってば興奮しちゃうとすんごい大声出しちゃうんだよねー。でもさ」
ちら、と鋼の指が政宗の目をさした。
「あんたあんま見えないらしいから、ちょうどいいかなって」
「……てめえ」
小十郎が低い声で先足をにじる。
「ほっとけ」
馬の体の上にしゃがみこんで、忍は細い指を組む。武将とは違う、幾何のように組み合わされた鉄が忍の体を覆う。半首にも、間近で被るのだろう血潮を流すための溝がある。胴当の分厚さは、これが戦場で腹を切ることなどないのだろうと思わせた。どうせ忍にはそんな機会など与えられないのだろうが、政宗はおかしかった。
もしこれを捕らえて、真田忍隊、猿飛佐助の名に免じて腹を切らせてやると言ったとして、この男は死ねないような気がした。死化粧に生刃の脇差しを持って、己の腹の前で動けなくなるような気がした。無理に首を落とされるのなら、ひょうひょうと取り繕ったまま死にそうではあったけれども。
「ね、それちゃんと見えてるの?」
そういえば周り中静かだと思った。遊びのように垂らした手に引っかかって、光る鎖に血が伝う。重さに任せて土に立った刃には何の曇りもないというのに。
「疱瘡だっけ。あんたあんましあばたとか残ってないっぽいけど、目ん玉飛び出しちゃうなんてびっくりしたでしょ。かわいそう」
前髪の下の政宗の顔を探るように忍が目を細める。
「――どうせなら両方なくなっちゃえばよかったのにね」
ねえ、と笑う。
見惚れるほど、いやな顔だった。
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好かれたいと、それだけがたぶん一番の望みだった。
初めて女の子を抱いたのは、娼楼に上げてもらった時で、最初だからって、川端で夜鷹でもなく、鉄砲長屋で年増でもなく、板敷きの床の上で、同じ年くらいの女の子を宛てがってくれた。景気付けにとつけてもらった銚子を空けて、部屋の隅っこで窓の外を見ていた。二階の部屋なんか、上げてもらったのは初めてだった。屋根の上に上ったことはあったけれども、人の目線で見る路地はまた違って見えた。
初めて女の子とするんだと思ったらどきどきして、入ってきた子の顔を見たらすごくかわいくてまたどきどきした。
佐助を見て、女の子は眉を歪めた。
「あ、おれ……」
聞きもせずにそのまま掛けぶとんをめくって、女の子は佐助の足の辺りを見た。
「早く」
言った時には、もう横たわっていた。
「あ」
ぎゅってしたりしないのかな、と思ったけど、佐助は慌てて部屋の隅を立った。ぎゅってしたり、なんか話したりしないのかな。どきどきしながら、ふとんの端に膝をついた。
「あのさ」
明らかに、不快のため息だった。
わっと頭が真っ白になった。
「あ」
女の子の匂いだけ、すごくわかった。あったかくてやわらかい感じ。肌の色が真っ白で、そういう女の子が男なら誰でも気持ちよくしてくれるっていうのがすごくわかる。きゅうんとする。耳のところ、すごく触ってほしくなった。首筋から、真っ赤になる。
女の子の開いた目に、佐助が映っていた。
よく見ようと覗き込んだのを、首ごと、ごろりと目を逸らす。ぎゅうっと眉を寄せる。鼻をすする音がして、女の子が悔しそうに佐助を睨んだ。
「……あんた、忍のくせにこんなとこ上げてもらえるんだ。お金持っててよかったねえ」
どうぞと裾のめくれた立て膝の奥は、ぱっくり口を開けていて、その色に佐助はうろたえた。変な匂いがする。膏の匂いだ。
「あんたみたいのに触ってもらわなくって結構だよ。好きにしな」
噛み締めた唇で、その子はもう佐助を見てくれなかった。
「……いいの?」
女の子を抱くって、すごくいいって聞いていた。ばかみたいに幸せになれる。すごく簡単だと聞いた。どんな子でも、誰が相手でも、まぐわるっていうのはそういうことだって聞いた。
「どうでもいい」
女の子は、佐助に触ってくれなかった。
ふとんの上でぎゅっと握ったままの拳が小さくて、手をつなぎたいなと思ったのも、忘れた。
「いれるよ」
自分でてきとうに擦って、気持ちよくもないのに硬くした。
いや、って言われるのがいやで、なんにも聞かないまま、きつく閉じたままの唇にくちづけをした。眉間のしわだけ深くなる。くちょっていれたけど、全然気持ちよくなかった。声も出してくれない。女の子が、すごくいやがってるのがわかった。きつくて、冷たくて、佐助のこと好きじゃないのがよくわかった。きちんと入りきらないまま終わって、佐助は、ぼうっとした。
最低だ。
ふたりとも、着物も脱がなかった。
「……なんで?」
覆い被さった格好のまま、ぽつ、と聞いた。
「おれ、いや?」
女の子の目が強く光る。
「金じゃなきゃ誰が望んで忍なんかと」
きり、と歯噛みの音がして、赤い唇が血を流した。
「誰が、忍なんかに」
うそつき、と思った。
誰でもいいんじゃないのかよ。誰でも気持ちよくしてくれるんじゃないのかよ。
「おれだって」
好きでしてるんじゃないと呻いた頬をぶたれた。
「なんでだよ……」
ひとりになった部屋でうずくまって、佐助は小さくなった。
ちょっとくらい、幸せになったっていいじゃん。どうせ行く先もないし、帰るところもないし、ずっとしょうがないから一生ひとりなのに、ちょっとくらいやさしくしてくれたっていいじゃん。別に殺したくて殺してるわけじゃない。なれるんなら、別のものになりたい。佐助だって、好きでこんな風に生まれてきたわけじゃないのに、いいじゃないか。
「もう……誰か……」
頭を抱えた佐助の上に、ただ夕闇が覆う。
こんなのやだ、と繰り返す度に思った。
佐助だって好かれたい。
だから、幸村が自分を選んでくれた時はうれしかったのだ。本当にうれしかった。
なのに、また、今、幸村は同じことを繰り返す。
「おれ、だめ?」
何回も戦に行った。
ほめてくれた。自慢してくれた。佐助のことを頼りにしてくれてると思う。
なのに、また、佐助は得られなかった。
結局最後には選ばれない。
幸村さえ、佐助を見てくれない。
なんで怒鳴るの。なんで聞いてくんないの。なんで疑うの。だって、もし、今ここにいるのが自分じゃなかったら、たぶん、幸村はこんな風には言わなかった。
信じてないんだ。
「――おれ、何してもだめなの?」
ねえ、と足許から闇が立ち上る。
やっぱり、と思った。
佐助は、幸村に好かれたかった。
「あーあ」
なんもねえわ、と思った瞬間、世界が全部真っ暗になった。